「資産3000万円」と聞くと、もともとエリートだったのかと思われるかもしれません。
しかし、20代の頃の私は、それとは正反対の「どん底」にいました。
将来のことなんて1ミリも考えず、ただ「今が楽しければそれでいい」という、その場しのぎの生き方をしていた僕を待っていたのは、終わりの見えない借金と、ボロボロになった心身でした。
「今が楽しければいい」の末路。僕が陥ったオンラインゲームと滞納の沼
22歳。新卒で入った会社をわずか1年でドロップアウトした。
とりあえず「生きていく」ために始めたのは、中華料理屋のアルバイト。
当然、会社員時代の収入には遠く及ばない。
東京での一人暮らしは想像以上に厳しく、足りない生活費を実家からの仕送りに頼る日々が数ヶ月続いた。
「自分は何をやっているんだろう……」
そんな情けなさを胸の奥に押し込み、私はある「逃げ場」を見つけた。
PS2の『バイオハザード アウトブレイク』。

初めて体験するオンラインゲームの世界だった。
もともとゲーム好きだった私だが、画面を通して全国の知らない誰かとリアルタイムで協力し、プレイする感覚は、これまで体感したことのない衝撃だった。
「すごい……本当に誰かがそこにいる」
初めて触れる未知の体験に、私は時間を忘れて没頭した。
知らぬ間にゲームへの情熱は高ぶり、気づけば現実の世界よりも、モニター越しのラクーンシティ(ゲームの舞台)にいる時間の方が長くなっていった。
気づけば、私の生活は「アルバイト・散財・ゲーム三昧」の三拍子。
ただただ、惰性で時間を溶かす毎日だった。
しかし、その「惰性」の裏側で、恐ろしい時限爆弾が秒読みを始めていたことに、当時の私は全く気づいていなかった。
郵便ポストの「空白」が招いた、30万円の絶望
私は当時、アパートの3階に住んでいた。
世間知らずだった私は、「郵便物は自分の部屋のドアにあるポストに届くものだ」と本気で思い込んでいた。
部屋のポストは、いつまで経っても空っぽのまま。
「自分には、どこからも連絡なんて来ないんだな」 そんな風に、他人事のようにやり過ごしていたある日、ふと1階にある集合ポストに目をやった。
そこには、吐き気がするような光景が広がっていた。
私の部屋番号が書かれたポストは、封筒やハガキ、チラシがこれでもかと詰め込まれ、無残にパンパンに膨れ上がっていた。溢れ出した書類をかき分け、震える手で封筒を破る。
「税金滞納通知書」
そこに記されていたのは、到底払えるはずのない「30万円超」という数字だった。
会社員時代、自動的に引かれていた税金。
アルバイトになった瞬間、自分で納めなければならない。
そんな当たり前のことすら、当時の私は知らなかったのだ。
口座残高は、ほぼゼロ。
「これは、本当にマズイ……」
目の前が真っ暗になった。
生活を立て直すため、私は朝9時から17時までの中華料理屋のバイトに加え、夜21時から朝5時までの深夜端末入力という、殺人的な「ダブルワーク」を始めることを決意した。
こうして、私の人生の歯車は、修復不可能なほどに狂い始めていった。
【返済サイボーグの限界】月6万のゲーム課金と、ベランダで吐き捨てた情けない夜

膨れ上がった30万円の滞納額。
そして100万円を超えたリボ払いの残高。
現実はもう、甘い逃避を許してはくれませんでした。
私はついに、自分の肉体を限界まで削る「禁断のダブルワーク」に手を染めることになります。
- AM 9:00 〜 PM 17:00:中華料理屋のアルバイト
鳴り止まないオーダー、充満する油の匂い、手首に響く重い鉄鍋。
常に動き回り、汗まみれになる過酷な立ち仕事。 - PM 21:00 〜 AM 5:00:深夜の端末入力バイト
一転して、静まり返った無機質なオフィス。
睡魔と戦いながら、ひたすら特殊なコード・数字を打ち込む。
帰宅するのは、太陽が昇り始めた早朝。
普通なら泥のように眠るはずですが、当時の私は異常でした。
数時間の睡眠を削ってでも、吸い寄せられるようにPS2の電源を入れていたのです。
もう完全な【ゲーム廃人・ゲーム中毒】でした。

月6万円もの大金を、借金をしてまでゲームに注ぎ込む。
画面の中にいる時だけは、借金のことも、ボロボロの体調のことも忘れられました。
しかし、そんな「サイボーグ」のような生活が長く続くはずもありません。
ある日の明け方、突然激しく胃が痙攣しました。 慌てて上半身をベランダへ乗り出し、胃の中のものをすべてぶちまける。
バケツを水で流しながら、「自分、何やってるんだろうな……」
そう呟いたものの、恐ろしいのはその後でした。
口をゆすいだ私は、何事もなかったかのようにまたヘッドセットを装着し、モニターに向き合ったのです。
睡眠時間を削り、身体が悲鳴を上げているのにやめられない。
それは若さゆえの無尽蔵な体力と、「借金という現実」からの逃避が生んだ、異常な執着でした。
情けなくて、惨めで、でもそこから抜け出す方法がわからない。
壊れかけた歯車は、さらに加速して回ろうとしていました。
【100万円の契約】魔法の言葉「リボ払い」と、終わらない返済地獄

金銭感覚が麻痺していた私に追い打ちをかけたのが、「自分への投資」という名の背伸びでした。
「これさえやれば自分に自信が持てるはずだ」
今の冴えない自分から脱却したい一心で、私は100万円を超える「美容と身だしなみ」に関する高額契約に踏み切ります。
完全に身の丈に合わない選択でした。
カウンターで迷う私に、店員は爽やかな笑顔でこう言いました。
「たけさん、これなら月々一定の金額で、無理なくお支払いできますよ」
その魔法のような響きに、私は救われた気がしました。
それが「リボ払い」という地獄の入り口だとも知らず、安易にサインをしてしまったのです。
「一定額なら安心だ。これで自分も変われる」
その時の自分を殴り飛ばしてやりたい。
そこから始まったのは、終わりの見えない泥沼の戦いでした。
給料日に必死で返済しても、その大半が「利息」という名の魔物に飲み込まれていく。
元金が1ミリも減っていない明細を見るたび、指先が冷たくなるのを感じました。
戦っているのは借金だけではありません。
残酷なまでに「時間」も過ぎていきました。
周囲の友人は、キャリアアップや結婚といった「人生の幸福なマイルストーン」を着実に登っている。
それに比べて、自分はどうだ。
夜勤明けのホームでスーツ姿の同世代とすれ違うたび、胸が締め付けられました。
僕の20代は、資産を作るどころか、過去に作った「負の遺産」を埋めるためだけに費やされていったのです。
資産ゼロどころかマイナス。僕の20代は「過去」を支払うためにあった

世間では「20代で1000万円貯金しました」なんてキラキラした発信を見かけますが、当時の僕はそんな次元にはいませんでした。
資産形成? 貯金? そんな言葉は、当時の僕の辞書にはありません。
あるのは「借金返済」という名の、マイナスをゼロに戻すだけの作業。
毎月必死に働いて稼いだ給料は、右から左へとカード会社に流れていく。
それも、元本ではなく「利息」や「手数料」として消えていくのです。
僕の20代という貴重な10年間は、未来を積み上げるためではなく、過去に作った「愚かな散財」の尻拭いをするためだけに費やされました。
もし、あの時の僕が「お金」について少しでも正しい知識を持っていれば…。
そう思わずにはいられないのです。
「若いうちは貯金なんてせず、ガンガン使え」という言葉に騙されないで。

これから社会に出る人、あるいは今20代の人に、これだけは伝えたいことがあります。
世の中には、
・20代のうちは貯金なんてしなくていい。
・借金してでも経験に使え
という言葉が溢れています。
インフルエンサーや成功者が口を揃えて言う、耳障りの良いこの言葉。
はっきり言います。
この言葉を真に受けてはいけません。
あれは、「使った分を後で何倍にもして稼ぎ返せる才能とバイタリティがある人」だけに許された特権です。
僕のように、安易な快楽や見栄のために散財してしまう人間がこの言葉を信じると、待っているのは「経験」ではなく「破滅」です。
「若い時の苦労は買ってでもせよ」と言いますが、
「リボ払いの苦労」だけは、絶対に買ってはいけません。
その苦労は、あなたの精神を蝕み、選択肢を奪い、人生の難易度を跳ね上げるだけだからです。
20代の『時間』は、億万長者も喉から手が出るほど欲しい『最強の武器』だ

・お金がないから投資なんてできない
・月々数千円投資したところで、たかが知れてる
そう思っていませんか?
かつての僕もそうでした。
「投資は金持ちがやる遊びだ」と。
でもそれは、致命的な勘違いです。
私たち40代がどれだけお金を積んでも、絶対に手に入らないものを、20代のあなたは持っています。それは「時間」です。
投資の世界には「複利(ふくり)」という魔法があります。
雪だるま式にお金が増えていくこの魔法は、時間が長ければ長いほど、その威力は何百倍にも膨れ上がります。
例えば、毎月10,000円を米国株式(S&P500)or 全世界株式(オルカン)などといった優良なインデックスファンドに積み立てたとします。
これを30年間続けるとどうなるか?

ただ貯金しただけなら360万円。
(1万円✖︎30年(360ヶ月)→360万円)
投資に回して年利5%で運用できれば、約830万円になります。
(※シミュレーション上の計算)
「預ける場所を銀行から証券口座に変更すること」で、470万円以上の差がつくのです。
これがもし、
- もっと大きな金額だったら?
- もっと長い期間だったら?
その差は、ベンツが買えるほど、あるいは家が買えるほどの「格差」となってあなたの前に現れます。
「若いうちの苦労は買ってでもせよ」と言いますが、 「若いうちの少額投資」こそ、やるべき価値がある(借金して投資はダメですが!)くらいの威力があります。
1000円でもいい。3000円でもいい。
「消費」して消えるお金を、投資という「種」として植えてください。
その小さな種は、あなたが40代になる頃には、あなたを雨風から守る「大樹」に育っているはずです。
こんな情けない過去の話に、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
「もっと早く気づけばよかった」と何度も後悔しましたが、そんなどん底からでも、40代で資産を築くことはできました。
過去は変えられませんが、未来と資産は今日から作れます。
この記事が、あなたの背中を押す小さなきっかけになれば嬉しいです。

